これまでの活動実績 / 映画祭レポート2012

11月25日(日)「文化庁優秀映画鑑賞推進事業」

映画祭レポート

三日目の「文化庁優秀映画鑑賞推進事業」は「三鷹オスカー、一日だけ復活!!」と並んで本映画祭の恒例上映会です。
「三鷹コミュニティシネマ映画祭」は2008年7月27日に小津安二郎監督『お早う』(59)と五所平之助監督、田中絹代出演『煙突の見える場所』(53)を文化庁の優秀映画鑑賞推進事業の一環として上映したのが発展して現在に至っています。
でも、「文化庁優秀映画鑑賞推進事業」って何?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
竹橋の東京国立近代美術館には?フィルムセンター?という映画部門があります。
フィルムセンターは京橋にあって日本映画創世記からの貴重なフィルムを文化資産として保存しています。それらの作品をセンター内の試写室で一般上映しているのですが、全国の皆さんが京橋に行く事は出来ませんから各地域の文化施設にフィルムを貸し出しているのです。この事業のサイトのトップページには以下のように書かれています。
「優秀映画鑑賞推進事業とは、広く国民の皆様に優れた映画を鑑賞していただくとともに、映画保存への理解を深めていただくことを目的に、文化庁と東京国立近代美術館フィルムセンターが、日本各地の文化施設と連携・協力して、所蔵映画フィルムを全国の会場で巡回上映させる事業で、平成元年度から実施しております。」

ただし、貸していただける作品は限られており、作品の組み合わせも4本パックであらかじめ決まっています。
今回25日に上映したプログラムも4本パック25セットのプログラムの中から、映画祭スタッフが選んだものです。でも、どんな組み合わせであってもこれらの作品を35ミリ・プリントで見られるというのは映画のデジタル化が進む中、本当に貴重な事です。
さてさて、今回は『雪之丞変化』(63)、『暁の脱走』(50)、『悪名』(61)、『隠し砦の三悪人』(58)の4本を上映。
『雪之丞変化』は1935年に朝日新聞に連載されて評判になった同名小説の5度目の映画化で、長谷川一夫は2度目の主演を務めた作品。
長谷川が女形を含む一人三役を演じる様がシネスコの横長のスクリーンに鮮やかに映し出されて当映画祭スタッフも息を呑んでいました。
会場の後ろから、35mm映写機で写します。映写技師さんが陰で頑張ってくれています
会場の後ろから、35mm映写機で写します。映写技師さんが
陰で頑張ってくださっています。
『暁の脱走』は題名から想像されるハデな印象とは裏腹な心理劇で、さすが日本映画界の名匠、巨匠である谷口千吉と黒澤明コンビの作品なので密度の濃い反戦映画でした。山口淑子(李香蘭)の美しさを大きなスクリーンで見られただけでも喜んでいただけたのではないでしょうか。
『悪名』は勝新太郎と田宮二郎の若いパワー、活きの良さが50年を経てもスクリーンから溢れ出して場内にみなぎりました。本作が当時大ヒットを記録したのも至極納得です。
そして、最後を飾った『隠し砦の三悪人』は言わずと知れた黒澤明の娯楽時代劇。本作が『スター・ウォーズ』の原点であることを再確認された方も多かったのではないでしょうか。
C3POとR2−D2のモデルとなった太平(千秋実)と又七(藤原釜足)のでこぼこコンビに、レイア姫同様の男勝りなお姫様(上原美佐)の登場人物。そして砂塵舞う荒涼とした舞台もソックリ。ルーク・スカイウォーカーがピンチに陥った時に逃げ出したはずのハン・ソロが助けてくれる展開同様に、三船敏郎率いる一行を窮地から突然救ってくれる敵の大将といった物語もよく似ていました。
当映画祭アドバイザーの鶴田法男監督は「今回20数年ぶりにスクリーンで見直して『スター・ウォーズ』どころか同じジョージ・ルーカス作品『レイダース/失われた聖櫃』にも相当に影響を与えていることに気づいた」と興奮気味に語っておられました。
会場では座布団レンタルをしました
会場では座布団レンタルをしました
さてこの25日の上映に関しては、特筆しておかないといけない事があります。当日はこの4本を一挙に上映するという暴挙に挑んだのです。
去年までの「文化庁優秀映画鑑賞推進事業」では2本ずつを2日で上映したのですが、そんなまどろっこしいことをするよりも「四本立て1,000円、出入り自由、マラソン上映!」というノリで一挙にやってしまおうとなった次第です。
ただし、もちろん4本合わせると455分、約7.6時間です。ところが、椅子は座り心地の悪いパイプ椅子。座布団レンタルもしているけれど、往年の作品ばかりですからお客様もお年を召した方が多いに違いない。4本すべてをご覧になる方は5名、多くても10名くらいじゃないかと予想をしておりました。
企画から当日の受付、もぎり当映画祭の運営は映画を愛するボランティアスタッフが行っています
企画から当日の受付、もぎりなど映画祭の運営は映画を
愛するボランティアスタッフが行っています
当日、スタッフが「せっかくだから、すべてをご覧になったお客様になにか記念品を差し上げよう」と言い出し、急遽、記念品を前述の予想から10名様分を用意したのです。
ところが、全上映が終わってビックリ。すべてご覧になった方は20名でした。しかも、老若男女の様々な方がいらっしゃったので、これにもビックリ。大慌てで記念品を追加手配しました。
皆さん、ほんとに映画がお好きなんでしょうね。アンケートには「四本立ては勿論生まれて初めてです」とか「アットホームでリラックスして映画を楽しめました」といったメッセージもいただいたので、4本であろうが1本であろうがご覧いただいたお客様にきっと素敵な時間を提供できたとスタッフ一同、胸が熱くなりました。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
今後も映画祭以外にも映画について語り合う場やイベントなどを開催したいと思っております。そういった場で、今回ご覧になった作品の感想などお聞かせ願えれば幸いです。どうぞ私たちの活動に引き続きご注目ください!!
「シネマカフェ」ビール、ホットコーヒー、おにぎりなど、地元の飲食店さんの協力で販売中!
「シネマカフェ」 ビール、ホットコーヒー、おにぎりなど、地元の飲食店さんの
協力で販売中!
優秀映画鑑賞推進事業
http://www.omc.co.jp/film/
国立近代美術館フィルムセンター
http://www.momat.go.jp/fc.html
文化庁
http://www.bunka.go.jp/