これまでの活動実績 / 映画祭レポート2014

優秀映画鑑賞推進事業「午前十時半のワンコイン映画祭/傑作アニメーション特集」『太陽の王子 ホルスの大冒険』

映画祭レポート

 『太陽の王子 ホルスの大冒険』は、高畑勲監督にとって初の劇場用長編アニメーションです。また、演出:高畑勲、作画監督:大塚康生、原画・場面設計:宮崎駿という最強の三つ巴が初めて組んだ、記念碑的作品でもあります。
  完成までにおよそ3年。作画枚数150,000枚(!)。文部省選定・タシケント国際映画監督賞受賞を受賞しました。
 今回は、文化庁優秀映画鑑賞推進事業の作品で、滅多に見ることの出来ない35mmフィルムでの貴重な上映ということもあり、日曜朝にもかかわらず、アニメ制作関係者の方から小さなお子様連れのご家族まで、様々なタイプのお客様の姿が見られました。
 1968年7月公開なので、今から46年前の作品ですが、テーマは全く色褪せていないことに驚きます。
 共同体を内側から破壊するため、互いに争わせる策略に対し、人間の弱さを受け入れた上で仲間との結束を高め、平和を手にする…という展開は、その後、数々の名作アニメーションでも描かれて来ました。この作品の持つ、ほとばしるような情熱とメッセージが、後の数々の名作に影響を与えたと想像するのに難くありません。それは普遍的なテーマを描いているとも言え、46年経った今も、「人間の本質は変わっていない。そして、同じ過ちを繰り返そうとしている」という、警笛にも思えるのです。それでも、「希望は捨てない。それこそが最後の砦だ」と、この映画は語りかけているようです。 「昨日の友は今日の敵」という言葉がありますが、その逆もまた然りと思われます。
 ご来場者の方のアンケートには、「とても勉強になりました」、「大画面で観られて、良かった」、「子供達も多く、テーブル席などラフな形でいいと思います」、「作品の内容は子供には少し難しかったようですが最後まで退出せずに見られたので大満足です!!」といった声がありました。
 会場入口近くに展示された、“ホルスの剣”(模型)や、この映画の脚本を興味深げにご覧になる方もいらっしゃいました。
 当日は、午前中の『太陽の王子 ホルスの大冒険』の後は、午後、”日本アニメーション界の巨匠 高畑勲監督特集”と題して『火垂るの墓』、最新作『かぐや姫の物語』の上映と高畑監督のトークショーが行われるということで、朝から高畑勲監督漬けの一日を過ごしたお客様もいらしたようです。
 アニメーションとは「霊魂」、「魂」を意味するラテン語「anima」に由来し、「止まった絵に命を吹き込み活動させること」という意味を再認識することが出来た、人間の息吹を感じさせる作品でした。  このように、過去の優れた作品を、お子様をはじめ多くの方々に観ていただく機会を作ることによって、日本の作品の素晴らしさを再認識することや、伝えていくことの大切さ・意義をあらためて感じた上映会でした。

text by 栗甘 クラ子