これまでの活動実績 / 映画祭レポート2014

優秀映画鑑賞推進事業「午前十時半のワンコイン映画祭/傑作アニメーション特集」 『長靴をはいた猫』

映画祭レポート

 映画祭最終日の朝は、初々しい声と共にスタートしました。この日、「午前十時半のワンコイン映画祭」の影ナレを担当するのは、ボランティアスタッフ最年少の現役女子高生。やや緊張気味ですが、明るい性格そのままの声のアナウンスが会場に流れました。
 日本の誇るアニメーション映画の土台を作った東映動画作品を3日連続で上映する「午前十時半のワンコイン映画祭」、最終日を飾るのは詩人シャルル・ペローの童話を題材にした『長靴をはいた猫』です。
 東映動画の代表作の一つで、脚本を井上ひさしと山元護久、ギャク監修を中原弓彦こと小林信彦が手掛けるという豪華布陣に加え、矢吹公郎、森康二、宮崎駿といった名だたるスタッフが参加している作品です。ですが、そんなことを知らない小さな子どもたちが、夢中になってスクリーンを見つめています。軽快なアクションと愉快なギャグに、歓声と笑いが次々に起こります。お固い解説など必要なく、映画祭会場がアニメーション映画「長靴をはいた猫」が、名作中の名作であることを伝えてくれています。45年も前に作られた作品とは思えない圧倒的な画力、垢抜けた線で描かれたキャラクターたちの動きに魅了されつつ、80分の上映時間は、あっと言う間に過ぎてしまいました。
 終了後、子どもたちは、爽快な表情で会場から出てきました。劇中のフレーズ、♪びっくりしたニャッ!びっくりしたニャッ!♪と歌いながら出てくる子もいました。ロビーに出て来る大人も童心に帰ったような満面の笑みでした。来場されたすべての方に喜んでもらえたようです。
 さらに、手作り映画祭ならではの出来事もありました。来場者の方が、劇場公開当時(1969年)に出版された絵本「長靴をはいた猫」(小学館の絵文庫シリーズ15)をお持くださいました。たいへん貴重なものなのにもかかわらず、「映画祭に来られた多くの人に手に取って見てもらいたい」との申し出があり、入り口に展示させていただきました。絵本は、今で言うフィルムブックに当たるものなのですが、現在発売されているフィルムブックのようにセル画をそのまま使用して組み立てた本ではなく、イラストは絵本用にわざわざ描きおこされたものだそうです。
 三鷹コミュニティシネマ映画祭で、子ども向けの作品を上映したのは今年が初めてでした。小学4年生が二人で自転車に乗って観にきてくれたり、一人、三鷹市大沢からバスに乗ってきてくれた小学生もいました。映画館で映画を観たことがない、今回が映画初体験という2歳のお子さんもいらっしゃいました。    未来を担う子どもたちのためにも、気軽に優れた作品をスクリーンの大画面で観ていただく機会を作る大切さを実感した上映会でした。

text by 山田 浩之

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