映画祭レポート2015

レポート#02 11月21日(土)『江ノ島プリズム』『少女は異世界で戦った-DANGER DOLLS』+シンポジウム「アイドルは時空を超える-時代を超えて語られるアイドル・未来へ語り継がれるアイドル-」

report_t20141121_02

特集企画「アイドルは時空を超える②」三鷹の映画人Vol.4

『江ノ島プリズム』
 今年の映画祭テーマのひとつ「アイドルは時空を超える」2本目のこの作品は、午前中に上映された『時をかける少女』へのオマージュたっぷりの作品で、現代の作品にしては、切なさを含みながら終わる珍しい作品でした。上映中の場内はとても静かで、場内のお客様は映画に集中している様子、お客様は鼻をすするような音も聞こえてきました。 少し前に聞いた話で最近、映画館に電話で、「上映中の~はハッピーエンドですか?」と尋ねてくることがあると聞いたことがあります。もちろん映画館側ではそういうことは人の捉え方によって違うのでわからないと答えるとのことでしたが、この作品は正にこの返事に当てはまると思われます。年齢、性別はもとよりその時の精神状態にも左右されるかもしれません。私は切ないけどハッピーエンドという解釈です。主要出演者がほぼそのままでフジテレビの月9の「恋仲」(2015)のモチーフになっていたというのも最近の映画とドラマ関係からすると逆になっているのが興味深く、それだけのインパクトがある作品だったといえ、ドラマ化された映画という事実が作品の品質保証となっています。福士蒼太はあまちゃんの種市先輩のノリそのままで、本田翼、野村修平3人が上手く絡み、吉田羊がスパイス的に効いています。

 

『少女は異世界で戦った-DANGER DOLLS』
 金子修介監督の王道アイドル映画です。お客様の様子は少し変わって、アイドルのファン的な方が増えて、ある種の熱気が出てきた感じでした。武田梨奈、花井瑠美、加弥乃、清野菜名演じる4人が地方アイドルの姿で身を隠しながら世界征服を狙う敵とブレイド(刀)や足技などで戦うソードアクションです。コスチュームやアイドル映画ならではのお約束的な場面もあり、監督のこだわりが伝わって来ます。またアクションに吹き替えを使わず、真摯に取り組んでいて、とても好感が持てました。物語は現代日本のパラレルワールド(平行世界)で展開しますが、二つの世界では見た目同じのキャラクターが好対照な性格になるというのはSF作品としても王道であり、ワームホールまで出てくるあたりはさすがです。演技の一生懸命さと悲壮感漂うストーリー展開がシンクロして相乗効果を生んでいる魅力たっぷりの作品です。 report20151121_01

 

シンポジウム 「アイドルは時空を超える-時代を超えて語られるアイドル・未来へ語り継がれるアイドル-」
 シンポジウムは、当映画祭のスーパーバイザー 鶴田法男監督の紹介からスタート。進行役の映画活動家松崎まことさん、パネリストの女優 武田梨菜さん、作家・脚本家小林弘利さん、アイドル評論家北川昌弘さんの順でステージに登壇し、会場が大きな拍手に湧きました。

 会場も武田梨奈さんのファンの方がかなりいらしたようで、静かな熱気につつまれていました。武田梨奈さんは細くて小柄ですが、華奢という感じがしません。ムダなく鍛えられている感じでアスリートとしても一流でした。ご自分は「アイドル」ではないと思っているそうで、例えば『少女は異世界で戦った』のダンスシーンの振り付けの練習では手刀のようにキレが良すぎると言われたことがあったそうですが、それを語るときの恥じらいはアイドルのようでした。シンポジウムの最初に飲み物をなんでもオーダーしていいと言われて、ビールを嬉しそうに頼んだのが場内の雰囲気を和らげたと思います。今後も。アクション作品には取り組みたい、『刑事物語』で武田鉄矢さんが披露したハンガーヌンチャクのような日用品を武器にしものを考案したいと言ってました。目の付け所がさすがだと感じました。

report20151121_01

report20151121_01

 作家・脚本家の小林弘利さんは、『江の島プリズム』と『少女は異世界で戦った』の脚本を書いていて、アイドルやSFに対する造詣が深い方です。『江の島プリズム』は『時をかける少女』のようなというリクエストがあったこと、『少女は異世界で戦った』は米映画『エンジェルウォーズ』(2011 監督ザック・スナイダー)を意識して書いたとのことでした。ご自身のアイドルは小さな恋のメロディの永遠の16歳、「トレーシー・ハイド」ということで、やはり年季が違います。特にこの2作はいじらしい主人公(たち)の自己犠牲の精神を見どころにしているとのことでした。
 途中、『少女は異世界で戦った』の監督 金子修介監督が飛び入り参加してくださり、アイドルについてのトークに拍車がかかりました。金子修介監督のアイドルへの認識の深さには脱帽です。北川昌弘さんとともにアイドル評論家が二人いるかのようでした。金子監督は、作品について、3.11の大震災以降日本の世相が変わったと感じていて、それを作品に盛り込んだと言われました。70~80年代のアクション映画、志保美悦子さんのようなイメージで「強いアイドル」の映画を撮りたかったそうです。またアイドルの振り付けの変遷として小柳ルミ子と麻丘めぐみを例に出した身振り手振り付きの熱弁がとても印象的でした。もちろん説得力はさすがでした。

 アイドル評論家の北川昌弘さんは、武田梨奈さんのアクション映画へのさらなる進出を勧めていました。具体的作品名として、「二代目はクリスチャン」(1985 井筒和幸監督)のリメイクがいいと言われていました。志保美悦子主演の素敵な映画です。武田梨奈さんにピッタリな感じなのでぜひ実現してほしいと思いました。

 進行をされていた松崎まことさんは、かって三鷹オスカーで数々の映画をご覧になっていて思い入れがあるといっていました。そしてさすが「映画検定1級」です。『時をかける少女』の話題でも当たり前のように、NHKの少年ドラマシリーズ『タイムトラベラー』を持ち出したり、節々の言葉に説得力がありました。

 場内からもパネリストの方々に質問が出ました。『少女は~』の出演メンバー4人で誰が一番強いのかという質問に(当然ですが)「私です」と自信を持って答えた武田梨奈さんの表情は素敵でした。
  シンポジウム終了後はパネリストの方々と来場のお客様が話をする時間が急遽設けられ終始和やかな雰囲気でした。時間終了が告げられても、その場にいる方全員がいつまでも名残惜しそうだったのが印象的した。

text by 今泉 健

menu_icon02 レポート#01 11月21日(土) 『時をかける少女』を見る

menu_icon02 レポート#02 11月21日(土) 『江ノ島プリズム』『少女は異世界で戦った-DANGER DOLLS』+シンポジウム「アイドルは時空を超える-時代を超えて語られるアイドル・未来へ語り継がれるアイドル-」を見る

menu_icon02 レポート#03 11月22日(日) 『伊豆の踊子』を見る

menu_icon02 レポート#04 11月22日(日) 『甘い生活』を見る

menu_icon02 レポート#05 11月23日(月・祝) 『野菊の墓』『ぼくらの七日間戦争』を見る

menu_icon02
レポート#06 11月23日(月・祝) 『オンリー・ワンディ』『案山子』+座談会を見る

menu_icon02「三鷹コミュニティシネマ映画祭」トップページ

Comments are closed.