映画祭レポート2015

レポート#06 11月23日(月・祝)『オンリー・ワンディ』『案山子』+座談会

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三鷹フィルムコミッションコラボ企画「三鷹で撮る!三鷹で観る!」

『オンリー・ワンディ』『案山子』座談会
 11月23日、月曜日の祝日。
 空は朝からどんよりしていましたが、スタッフさんたちの明るく晴れやかな「おはようございます!」の声が交わされる中、映画祭最終日が始まりました。

 自分が寄稿している「ことばの映画館」第3館の上映開始(正確には販売開始ですが)という記念すべき日でもあって、私は冊子の売り子として三鷹の映画祭に参加しました。
どれだけの方が来てくださるかは、売り上げにも響くと思われ、「たくさん来てくださるといいな」とワクワクしながら売り場設置をしました。

 松田聖子、宮沢りえの初々しさ溢れるアイドル時代作品の上映後、一転して自主映画2本+座談会へと移りました。

 「三鷹で撮る! 三鷹で観る!」というフィルムコミッションコラボ企画の会場は、ほぼ満席状態でした。客層は「大人な方々」といった印象でしょうか。

 

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 『オンリー・ワンディ』『案山子』とも三鷹のフィルムコミッションの協力を得て、一部もしくはほとんどが三鷹で撮影された映画で、それを三鷹で上映するということに、地産地消という言葉がふと浮かんできましたが、映画においての「地域性」は一般用語とは正反対の意味を持つのかも知れない。上映前の私は、そんなことを考えておりました。映画は消費されるものではなく、広がってゆくものですから……。

 三鷹で撮られた映画が、三鷹の外に広がってゆく。
 三鷹で上映された映画が、三鷹を知らない人の印象に残ってゆく。
 三鷹に暮らす人々が、新たな三鷹の顔を知る。
 そんなふうに、映画を通して何かしらの情景が人の心の中に広がってゆくなら、それはすてきなことだろう、と思いました。

 映像は、冨田しのぶ監督の「三鷹飲食店のCM」から始まりましたが、TVの食べ歩き番組と何かが違うのです。「帰りに寄ってみようかな」と思える気持ちの距離かも知れません。どこの映画館でも予告編の一部に、周辺の飲食店等のCMを入れたら良いのではないかと思ったほどです。観客にとっても、映画館にとっても、近隣のお店にとっても「美味しい」ことに思えました。
 冨田監督の『オンリー・ワンディ』は、平凡な男性が平凡な日常を淡々と送るシーンが続きます。一人でコピー機と向き合い、一人で会社帰りに会話のない食事をする。一人でぼんやりと電車を待つ。言葉にすると侘しさ満載ですが、なぜか主人公は不思議と満ち足りて見えます。
 私は一人でいるのを寂しく感じますが、一人でいる人を「寂しい人」と決めつけるのは違うのかもしれない、そんなことを考えていたら、いきなり思わぬ出来事が!
 品田裕介監督の『案山子』は、家庭の核になっていた母親が亡くなった後の、残された父親と息子2人の物語です。「ここ三鷹?」と思ってしまうような自然の豊かさにも驚きますが、役者さんをほとんど使っていないということにも驚きました。自分と家族の関係を振り返ってみたくなる作品でした。
 「フィルム・コミッション」という言葉を知らなかった私ですが、座談会の中でそれがどのようなものか、何となくイメージすることができました。
 ドラマや映画等の制作者が希望するロケ地と、市区町村などが提供できるロケ地のマッチング作業のようなものでしょうか。
 「市民の皆さまに楽しんでいただきたい、幸せに寄与したい」という自治体の想いと、映画の制作者にとって手間暇のかかるロケ地確保の労力を減らすことが噛み合えば、きっと意味のあることなのだろうと思われます。
 座談会では、他市の方からの質疑やご意見なども聞くことができ、「映画×地域・自治体」という視点が浸透してきていることを感じました。
 
 私にとって『三鷹』から連想されるものは、若い頃から変わらず名画座「三鷹オスカー」でした。地名から、まず映画館を思い浮かべる唯一の場所かも知れません。三鷹オスカーの復活を願わずにはいられない映画祭でした。

text by 佐藤 聖子

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