映画祭レポート2016

映画祭レポート#3 11/20(日) 市川崑監督特集 『ぼんち』

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 昨日の雨とうって変わって、日差しが暖かく注ぐ青空の気持ちのよい日曜日になりました。

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 スタッフとしての初日の緊張はややほぐれ、みんなにも一日目よりも笑顔が多く見られ、スムーズに準備も進み、開場の時間を迎えることができました。
 お天気に恵まれたこともあり、おしゃれを楽しまれている初老の方、ご夫婦で仲良く来られた方、年配のお母様とその付き添いのご家族の方、たくさんの方が訪れてくださいました。

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 映画が製作された年代(1960年)に合わせて、お客様の年齢層は幅はあるもののやはり高いようです。本当は若い方にも昔の映画も観ていただきたいし、ファンも増えて欲しいです。
 市川崑監督の映画からは、今の時代にはないその時代の独特の文化やしきたりなどや生活を知ることができますし、また変わらないもの-女性のしたたかさや強さ美しさなど-を感じることができます。また世界でも評価の高い映画撮影技師・宮川一夫の映像美を味わう事もできます。
 このような映像体験は感受性を広げることに繋がり、自分自身や日本がどのようにしてできてきたのかルーツを知ることもでき、とても貴重なのです。
 始まるまでのひとときを展示されている過去の映画祭の写真や「三鷹オスカー」で上映された懐かしい映画のパンフレットを熱心に見ている方、後ろに構える大型の映写機に関心を持たれる方など、思い思いの時間を過ごされていました。
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 上映された「ぼんち」は、市川監督作品のなかでもテンポの良い喜劇として人気のある作品です。「ぼんち」とは関西弁で「若旦那」(わかだんな)あるいは「器の大きい坊ちゃん」を意味するのだそうです。山崎豊子原作の小説の映画化で「眠り狂四郎」でニヒルな二枚目スターというイメージだった俳優・市川雷蔵が、大阪の飄々とした若旦那を演じており、彼を取り巻く女性たちがとても豪華な女優陣なのが魅力でもある作品です。

2.ぼんち
 スクリーンの中には、今はもう亡くなられた俳優や女優が当時の美しさのまま確かに生きており、そこで起きた出来事は本当にあったこととして心に迫ってきます。大きなスクリーンで、大勢で同時に作品を味わえることも素晴らしいと思います。
 暗闇の中に浮かび上がる光と影は、映画の独特の美しさとリアリティを持ち、テレビやインターネットなど無数の情報が体をただ通過していく日常で、映画は情報ではなくひとつの「体験」であるということを改めて思い出させてもらいました。
 そして、上映が終わった後に自然に浮かぶお客さまの笑顔は暖かく、スタッフとしての喜びをさらに感じさせてもらいました。

 今回このように映画祭に関われたことが有り難く誇らしくもあり、「三鷹オスカー」という映画館が確かに存在したことを、自分の中に実感できた瞬間でもありました。

Text by 吉本千絵

 

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